いのいち勉強日記

Turingで自動運転の開発をしています。京大でPhDをとりました。Kaggle Grandmasterです。

【書評】波頭亮「AIとBIはいかに人間を変えるのか」

NewsPicks Bookでも「ベーシックインカムと人工知能」の本が出ました!
  
波頭亮さん著の「AIとBIはいかに人間を変えるのか」
  
この本はすごくまとまっていますね!
人工知能に関しても、ベーシックインカムに関しても
しっかりと一通りの知識を学べると思います。
さらに「人工知能xベーシックインカム」についても
最後ちゃんと結びつきました!

 

人工知能と人間の違い

 
第1章では人工知能についてまとめられています。
しかし、よくまとまっていますね!
人工知能の歴史から今できること、できないこと
人間との違いや人工知能がもたらしうること
本当に網羅的にしっかりと説明されています。
 
人工知能と人間の違いは特に印象に残っています。
 
人間は、情報が少なかったり答えがあるかすらわからない問題でも
なんとか答えらしきものを見つけて進むことができます。
しかし、人工知能はそのような主観や曖昧さがともなう作業が苦手です。
データを用いて合理的な結論を出すだけなら人工知能の方が圧倒的かもしれませんが
そういうのを超えた既存にはない方法を出すのは人間しかできません。
 

格言風に言うと、AIはデータから学ぶが、
人間は失敗から学ぶのである。

 
良い言葉ですね。
 
しかし、AIが発達しすぎた時のリスクとして
この「失敗から学ぶ」と言うのを怠ると、人間の能力がすごく低下する
と筆者は述べられていました。
 
これはかなり重要で心に刻まないといけません。
 
やはり新しいことを見つけるためには機械だけでは無理で、
人がリスクを取り続けていかないとダメなんですね。
それをしないと本当に「人工知能」によって
人間の生活が牛耳られてしまっているかもしれませんね。

 

 

ベーシックインカムがなぜ実現しないか

 
第2章はベーシックインカムについて。
こちらもすごくよくまとまっていて感心です。
 
この章で特に印象に残っているのは
ベーシックインカムが実現可能性について。
 
よく言われている通り
「労働意欲が低下するから導入すべきでない」
「そんな財源はない」
「働かざる者食うべからず」
などなどの意見に対する反論はお見事です。
 
ですが私が注目したのは「官僚の抵抗」
 
そうなんです、官僚はベーシックインカムにしたくないんです。
なぜなら、ベーシックインカムのようなシンプルな制度にすると
官僚がそれに対して何もできなくなるからです。
だから失業保険のようなごちゃごちゃと手続きをさせて
複雑な仕組みを作り上げていると言うことなんです。

 
国民にとってはすごくシンプルで恣意性や裁量を排除できることは、
行政を司る側にとってはデメリットになってしまうというなんとも不思議な話。
 
そんなところに国民からはなんとも手の出しづらい問題が
びっしりと根を張っているとは思いもよりませんでした。
 
これはどうすればいいのやら…
 
きっと国民がしっかりとこの問題を理解して
しっかりと訴えかけていくことしかできないんですね。
 
なかなか難しい問題ではありますが、
こういったことが書かれた書籍が広く読まれるということも
すごく重要なことだなと思いましたね。
 
 

AI時代、なぜBIが必要?

 
第2章でベーシックインカムについてはかなりしっかりと書かれており
そもそも今の日本の不況を打破するために必要な制度だとわかります。
 
ではなぜ人工知能とベーシックインカムが一緒に語られるのか。
 
「人工知能により仕事が奪われる」だけではダメなのです。
 
人工知能が進歩して人々の仕事を奪っていくと
産業はどんどん人工知能だけで成り立ってしまいます。
そうなってくると問題なのが、
・多くの人が働けなくなること
・資本家だけが儲かってしまうということ

つまり、格差がこれまでになく大きくなってしまいます。
 
そうなるとどうなるか。
一見すると資本家の一人勝ちに見えますが
筆者は資本家にも害が及ぶと言います。
 
なぜかと言うと、そこまで大きな格差が広がった世界では
消費者が極端にいなくなってしまいます。
消費する人がいないと言うことは資本家にもお金が入りません。
 
つまり、
経済が崩壊してしまうのです。
 
確かにこれはディストピアですね。
 
そこで何かいい制度はないかと考えると
最も良いのがベーシックインカム。
 
ベーシックインカムはもともと「富の再分配」と言う性質があるように
極端な格差は解消され、多くの人に消費する能力が戻ります。
つまり、上で挙げたような経済の崩壊を阻止できるんですね。
 
つまり、
ベーシックインカムが解決できるであろう問題に
ぴったりの問題が人工知能が進歩した時代には起こるんです!

だから「AIとBI」は相性がいいんですね!
 
 

AI+BIが実現したらどうなる?

 
AIとBIが実現したら働く必要がなさそうです。
じゃあそうなったらどうするの?の答えがあります。
 
ここはぜひ読んでいただきたいですね。
 
この時代を豊かに生き抜くのは結構難しいことだと思います。
 
なぜならこの時代に必要なのは「やりたいことをやる」
 
やりたいことがある人はいいんです。それを追求するだけなので。
それがない人にとっては本当に辛い時代だと思います。
でも、ないからといっていきなり不幸ではないですけどね。
つまり、
お金を得るために一生懸命になっていた時代から
やりたいことを一生懸命探す時代になるってことですね。

 
そのために大事なこともしっかりと書かれていますので、
ぜひ読んで見てください!!!
 
 

まとめ、NewsPicksから出版されたと言うこと

 
なんども言いますが本書は本当によくまとまっています!
大事なことを全部この一冊にまとめました!って感じで、
AIとBIについて知りたいなら読む価値ありです!
 
わたしが良いなと思っているのは
この本がNewsPicksから箕輪さんが出したということ。
 
NewsPicksはいますごいイケイケの会社で
NewsPicksアカデミアなどもあり、
すごい勢いでその勢力を広げています。
 
同様に箕輪さんも3万人を超えるフォロワーや
オンラインサロン、各地で講演会をおこなったりと
精力的に活動されており、これまた大きなコミュニティがあります。
 
つまり、
そのような大きなコミュニティの人たちがこの本を読むと言うこと。
本来だったら「ベーシックインカム」なんて聞いたこともない人たちも
その存在を知り興味を持つ可能性があると言うことです。
 
NewsPicksや箕輪さんたちの活躍が本当に日本を変えていくのではないか
ふとそのように思いました。
 
今後出るNewsPicks Bookも楽しみです。
 
ベーシックインカムについては
他にもたくさん面白い本がありますので
この本で興味を持たれた方はぜひそちらも!
 


AIxBIのパイオニア!井上智洋先生の本もおすすめ!
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