いのいち勉強日記

Turingで自動運転の開発をしています。京大でPhDをとりました。Kaggle Grandmasterです。

[読書メモ] キーエンス解剖

「キーエンス解剖 最強企業のメカニズム」を読んだのでそのメモ。


読んだモチベーション

キーエンスにお世話になったことがある人だったら、キーエンスが異質の凄さを秘めているのは知っていると思います。実際にキーエンスにデモをお願いしたこともありますが、こんなにデモがうまくて買いたくなるもんなんだなと驚かされました。(その後、その製品は購入しました。)営業がすごいだけでなく、キーエンスは製品自体もユニークで使いやすいことが多いです。キーエンスにしかできない機能があるのに、それが簡単に誰でも使える!みたいなのが多い印象です。そんなキーエンスを徹底的に取材した本ということで読んでみることにしました。

本書の概要

取材をベースに本書は成り立っています。いわゆる公式本ではないです。ですが、たくさんのOBの方や取締役の方に取材をしてまとめているので、会社のカルチャーのような多くの人に共通するポイントはまとめられていると感じました。営業の1分単位で書き込む外報や、「意味的な価値で粗利を8割」にするために商品企画担当者が終始プロダクトの開発の面倒を見るところ、結果だけでなくアクション自体を評価して賞与をつけるところなど、営業や開発、社風などそれぞれの領域でキーエンスが大切にしているところがまとめられていました。

印象に残ってるところメモ

即納へのこだわり

キーエンスは全商品当日出荷を掲げています。1万円の商品の即納を維持するために10万円をかけることもあるとか。協力会社と丁寧に関係づくりがその裏にはあるようです。製造を請け負った会社のパートの方の意見までしっかり聞いたり、支払いも現金でしていたりと、サプライヤーへの配慮がとてもいい感じでした。顧客としては見えないところですが、協力会社の方も徹底して大切にすることで即納を実現しているんだなと。

時間チャージ

「前年度の付加価値 / 総労働時間」で時間あたりどれだけの付加価値を生み出したかを共有されるらしいです。それをみて、1時間で生み出せる付加価値を常に意識するようになるという。キーエンスには数値化を徹底する文化もあるみたいですが、この時間チャージは特に面白いなと思いました。頑張った、頑張ってないではなくて数字として意識できると、行動に繋げやすいだろうし、とても良い仕組みだなと思います。

まとめ

キーエンスの大切にしていることや面白い仕組みがいろいろわかってよかったです。冒頭に「人が育たないわけがない」という言葉が使われていますが、まさにそのとおりだなと感じました。プロセスもめちゃくちゃ大事にしているので、働く型がしっかりと身につく印象を受けました。会社の大切にしているもの、文化、プロセス、報酬、こういったところをうまく結びつけて世の中にユニークな価値を届けているすごい会社だなと、改めて感じました。