いのいち勉強日記

Turingで自動運転の開発をしています。京大でPhDをとりました。Kaggle Grandmasterです。

【書評】「VRビジネスの衝撃 『仮想世界』が巨大マネーを生む」

2016年「VR元年」に出版された本書は
VRの現状を見事にまとめた素晴らしい本。
 
筆者の新清士さんは実際にVRを体験して
ものすごい衝撃を受けたことからVRに魅了された人の一人です。
 
そんなインパクトを生み出すVRビジネスが一体どのようにできてきて、
今後どのように発展していくか、日本ではどうか、VRにまつわる事情がわかります!

 
技術的側面に加えて、人物的な側面にもフォーカスした本書
今あるVRのブームが生まれるまでのストーリーがわかりとても面白かったです!
なぜ今これほどまでにVRが注目を集めているのかがわかります!
 
2018年5月、この記事を書いているちょっと前に
「Oculus Go」が出たんですけど、この本のストーリーからつながっていて面白い!
さらに「Ready Player 1」がVRにとってかなり重要な映画だということもわかります!

 
そんな中でも面白かったのをいくつか紹介します。
 
・今のVRの状況がどうなっているか知りたい人
・VRがどのようにしてブームになったか知りたい人
・今後VRはどうなるか知りたい人
・日本とVRはどうなのか知りたい人

そんな人には特にオススメです。

VRが作る世界

 
VRとは、ヘッドセットを装着して、
あるCGの世界に実際に入り込んでいるかのような体験ができます。
 
それにより、実際ではありえないような状況も
本当にその場にいるかのように体験することができるのです。
 
筆者が感動したものの1つとして「綱渡り」がありました。

これ、実際には高さが数十センチの台と台の間にロープが張ってあるセットがあります。
普通にそのロープを渡るのに恐怖を感じる人はほとんどいないと思います。
しかし、VRのヘッドセットを装着することで、
目から見える周りの状況はビルとビルの間に一本のロープが張られている、
そんな世界に入ったように見えるわけです。
 
するとどうなるか。
脳は本当にビルの上にいるかのように錯覚します。
そして恐怖から体が震えてくるのです。


それほど「没入感」というものがあるのです。
 
筆者はこのことに加えて、
VRにはインタラクティブ性が鍵になってくるといいます。
 
ゲームのようなインタラクティブ性がVRに加わることで
より実存感が増すというのです。
ここが今後のVRの重要課題であるといいます。
 
VRは「映画とゲームの間の世界」という存在になってくるのです!

VRブームの立役者「Oculus」

 
VRのデバイスを開発している最王手のOculus。
この会社は神童パルマー・ラッキーによって作られました。
 
パルマーは2005年に発売されたヘッドマウントディスプレイの購入をきっかけに
その装置の魅力にどんどんハマって行きます。
 
しかし、当時の装置は視野角が非常に狭く
たったの25度くらいしかなかったそうです。
 
ですが、視野角は没入感に欠かせない絶対条件です。
 
パルマーは自分で視野角の広い装置を作ろうってなるわけですね。すごい。
ガレージから彼の装置開発が始まったそうです。
アメリカのスーパースターはみんなガレージ発ですね。
 
そして、ついに視野角90度の装置を開発してしまうんです!
 
この画期的な装置のさらなる進化に貢献したのが、
伝説のプログラマー、ジョン・カーマック。
FPSの生みの親ともいわれるカーマックが、パルマーの装置に興味を持ち、
今度はソフトウェア側からの進化が生まれます。
 
カーマックはプログラムを駆使して画面のフチの部分を湾曲させるといった、
いまVRの映像で見るような工夫を生み出します。

 
そうしてさらに広い視野角を生み出すことに成功しました!
 
この二人の出会いと技術の融合によって今あるようなVRの視野角が達成されて、
世界中の人を魅了する圧倒的な没入感が生まれたんですね!
 
 

まとめ

 
VR事情についてよくまとまっていたのですごく良かったです。
 
いろんな人がVRに未来を感じているんだとわかりました。
そしてVRは今後さらに進化していくのは間違いないということもよくわかりました。
やっぱりVRって興味深い!!!

 
その魅力をふんだんに伝えてくれている本書は素晴らしいですね。
とても面白く読めるのでオススメです!